言熟文源録【ことば紀行】

ふっくら熟れたことばの実。そのタネをみつめる旅に、出かけましょう。

「花柳界」はなぜ「花」と「柳」なの?


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どーも、ふぎとです。
今日は「花柳界」についての小ネタです。


小学館の『デジタル大辞泉』を見てみると、「花柳界
は「芸者や遊女の社会。遊里。花柳の巷(ちまた)」と
説明されています。しかし、そんな芸者・遊女の社会が
なぜ「花」と「柳」で表されているのでしょう?


その答えが、隆慶一郎吉原御免状』(新潮文庫)で紹介
されていました。

 

吉原御免状 (新潮文庫)

吉原御免状 (新潮文庫)

 

 


唐・宋の遊里は、いずれも柳の樹に囲まれていたと
いう。柳の並木が色里の象徴だったのである。その
ため遊里をまた『柳巷』といった。『柳巷』の妓楼
には『花』がある(向うで『花』といえば牡丹のこと
だ)。『花街』といい、『花柳巷』という言葉は、こ
こから生れた(この『花柳』という言葉は、我が国に
伝来して『花柳界』なる語を産み、『花柳病』なる
忌わしい言葉さえ出来たのである)。


ここで「唐・宋」とは7世紀~13世紀に続けて栄えた、
中国の王朝のこと。つまり、「花と柳」は1000年近い伝
統がある、「遊び里」の象徴だったのです!
いやぁ面白い。知的好奇心がダバダバと満たされました。


それでは今日はこの辺で。ふぎとでした。