【エイリアン探索】マーク・カウフマン『地球外生命を求めて』(奥田裕士 訳、DISCOVERサイエンス) #21
どーも、ふぎとです。
今日はマーク・カウフマン『地球外生命を求めて』を紹介するよ。
作品紹介
地球上で、「最初の生命」はどのように生まれたのか。
この問いへの答えは、主義信条によって変わってくるも
のではあるけれど、あくまでも科学的な立場から言えば、
これは「情報」がかかわってくるらしい。
また1953年、シカゴ大学のユーレイとミラーは、原始
地球の大気と自然環境とを人工的に再現する実験によっ
て、生命をつくるもととなるアミノ酸が簡単に合成され
てできることを示した。
こうした条件に加えて、最近では「ブラック・スモー
カー」と呼ばれるスポットが生命発生の場の候補として
注目されている。ブラック・スモーカーとは、海底の中
でも深海での圧力のために熱水(200℃~350℃)が噴き
出ている場所をいう。この熱水噴出孔からはメタン・水
素・硫化水素・アンモニアなどのガスや、鉄・マンガン・
銅、亜鉛などの金属イオンがたくさん噴き出てくる。こ
うした場所は、アミノ酸をはじめとする有機物の合成に
適しているから、生命発生の場として有力視されている
のだ。
なんにせよ、こうした「生命発生の条件」が明らかに
なってきた以上、次のように考える人が出てきても不思
議ではないー「ブラック・スモーカーに似た場所がある
他の惑星なら、生命は存在するのではないか?」
この問いに答えようとしているのが、宇宙生物学と呼
ばれる学問分野である。残念ながら(或いは幸運なこと
に)今のところこの分野において、「エイリアン」が存
在するという合意はなされていない。しかしワシントン
ポストの記者である著者は、宇宙生物学者らへの丹念な
取材をもとに、「地球外生命は存在しない」とは言い切
れない証拠譚を次々と提示する。南極の万年氷の中にも
生物はいるし、火星には(地球において)生物活動の副産
物であるメタンが観測された、というような。ぼくも、
地球外生物の存在にはSFで培った好奇心を刺激されるた
ちだ。だが、こうしたロマンを現実にしようと思うと、
多かれ少なかれ政治的折衝が発生するものだ。宇宙生物
学者の真の戦いは、こうした「予算」を勝ち得ることに
あるのかもしれない。
(参考:生命の誕生)
この本をオススメしたい人
・「地球外生命」に興味がある人
・生命の謎に手軽に触れてみたい人
・わくわくするノンフィクションが読みたい人
ではでは今日はこの辺で。ふぎとでした。