【6000人一斉自殺】伊藤計劃『ハーモニー』(早川書房) #18
どーも、ふぎとです。
今日は伊藤計劃『ハーモニー』を紹介するよ。
作品紹介
Lifism―生命至上主義。2019年に発生した核兵器の散
発的な使用は、人類の健康危機を引き起こし、その反作
用として台頭した、構成員の健康の保全を統治機構の最
大の責務とする考え方。人々はWatchMeと呼ばれるソフ
トウェアを体内にインストールすることで、自らの健康
管理を「外注」するようになった。そんな世界において、
ある日6000人以上の人間がまったく同時に自殺するとい
う事態が発生する。その折、WHO(世界保険機構)の「螺
旋監察官」である主人公トァンは、友人キアンの自殺を
目の当たりにする。捜査の過程で浮かび上がってきたの
は、13年前に死んだ筈と思われていたトァンのもう1人
の友人、ミァハの存在だった。
この小説で描かれているのは、いわば「管理社会の1
つの極致」だ。この舞台設定によって、私たちが自明と
思っていることが相対化される。つまり、いまの「当た
り前なこと」は、巨視的に見ると「特殊なこと」のひと
つにすぎないのだ。改めて自分たちは、ある「ルール」
に従って思考・行為しているのだと感じさせられた。
著者紹介:伊藤計劃
昭和49年10月14日生まれ。Webディレクターのかた
わら執筆活動をつづける。がん闘病中の平成19年刊行の
「虐殺器官」がデビュー作。20年「ハーモニー」を刊行。
平成21年3月20日死去。34歳。「ハーモニー」は死後の
平成21年の星雲賞(日本長編部門)、22年日本SF大賞、2
3年にはフィリップ・K・ディック賞特別賞を受賞。東京
都出身。武蔵野美大卒。
(講談社『日本人名事典』より)
この本をオススメしたい人
・近未来を描いたSFが好きな人
・いまの社会の「ルール」を客観的に見つめ直したい人
・とにかく面白い話が読みたい人
ではでは今日はこの辺で。ふぎとでした。