言熟文源録【ことば紀行】

ふっくら熟れたことばの実。そのタネをみつめる旅に、出かけましょう。

SF

円城塔『Boy's Surface』(早川書房) #50

某人による超文脈的解説 ハーバート・クエインがロスコモンで死んだ。「タイムズ」誌の文芸付録はわずか半年の追悼記事をのせただけであり、そこには、副詞によって修正されていない(すなわち、厳しい説諭を受けていない)形容詞はひとつもないことを知っても…

【現実 VS 幻想】フィリップ・K・ディック『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』 #45

この記事から学べること 『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』はどんな小説か 小説を通してディックが考えたかったことは何か ディックが晩年惹かれた「クムラン教団」とは 死の灰が降り注ぐ 第3次世界大戦後、地球。惑星全体が生命を遺伝子レベルで汚染…

【19世紀のクラブシーン】高野史緖『ムジカ・マキーナ』(ハヤカワ文庫) #35

ようこそ、ふぎと屋へ。今日は高野史緒『ムジカ・マキーナ』を紹介しよう。 ムジカ・マキーナ (ハヤカワ文庫JA) 作者:史緒, 高野 発売日: 2002/05/10 メディア: 文庫 無冠のデビュー作 この作品でデビューしろと言われたところで、たかが一応募者に過ぎない…

【生きたロボットを止める?】森博嗣『魔法の色を知っているか?』(講談社タイガ) #28

どーも、ふぎとです。今日は森博嗣『魔法の色を知っているか?』を紹介するよ。 魔法の色を知っているか? What Color is the Magic? Wシリーズ (講談社タイガ) 作者:森博嗣 発売日: 2016/01/19 メディア: Kindle版 作品紹介 最近のAI技…

【文体という兵器】伊藤計劃『虐殺器官』(ハヤカワ文庫) #25

どーも、ふぎとです。今日は伊藤計劃『虐殺器官』(ハヤカワ文庫)を紹介するよ。 虐殺器官〔新版〕 (ハヤカワ文庫JA) 作者:伊藤計劃 発売日: 2014/08/08 メディア: 文庫 作品紹介 小説を批評するとき、「文体」ということが取り沙汰されることがある。小学館…

【長編的な何か】円城塔『self-Reference ENGINE』(ハヤカワ文庫) #23

どーも、ふぎとです。今日は円城塔『self-Reference ENGINE』(ハヤカワ文庫)を紹介するよ。 Self-Reference ENGINE 作者:円城 塔 発売日: 2013/11/15 メディア: Kindle版 作品紹介 無限に広がる平面。その地表には、無限の数の人間が暮らしている。 "イベ…

【6000人一斉自殺】伊藤計劃『ハーモニー』(早川書房) #18

どーも、ふぎとです。今日は伊藤計劃『ハーモニー』を紹介するよ。 ハーモニー〔新版〕 (ハヤカワ文庫JA) 作者:伊藤計劃 発売日: 2014/08/08 メディア: 文庫 作品紹介 Lifism―生命至上主義。2019年に発生した核兵器の散発的な使用は、人類の健康危機を引き…

【ながい午後をゆく】B.W.オールディス『地球の長い午後』(ハヤカワ文庫) #12

どーも、ふぎとです。今日はB.W.オールディス『地球の長い午後』を紹介するよ。 地球の長い午後 (ハヤカワ文庫 SF 224) 作者:ブライアン W.オールディス 発売日: 1977/01/28 メディア: 文庫 作品紹介 1人の読み手として、作家の想像力・描写力に畏怖の念を…