言熟文源録【ことば紀行】

ふっくら熟れたことばの実。そのタネをみつめる旅に、出かけましょう。

【ピリ辛の沼】水野仁輔『スパイスカレー事典』(パイ インターナショナル) #48

f:id:fugithora812:20201004153254j:plain 料理が好きだ。平日の夜、仕事から疲れて帰ってきたときも一品はつくる。ぼくにとってはそれが気分転換のナイトルーティーンのようになっている。

こうまで料理に熱をあげることになったきっかけは、参加しているオンラインサロンの「ごはん部」に入ったことだった。食べることが好きなメンバーが集まり、「きょうのごはん」の写真をアップするというのが主な活動だ。そこで自分の料理を見て、反応をもらえるというのが今でも料理を続けるモチベーションになっている。

そうこうする内に、YouTubeで「一人前食堂」を知った。ゆったりした雰囲気や料理に関する知識の広さにたちまち虜になった。とくにぼくが気を惹かれたのが、スパイスカレーのレシピだ。「家でもスパイスからカレーを作れる」ということが新鮮な驚きで、すぐにつくってみたくなった。

さっそく近所のスーパーでコリアンダー・クミン・ターメリック・チリパウダーを買ってきた。1日経って本書が届いた。著者は「カレー専門の出張料理人」というだけあって、スパイスに関する解説は広く、深い。といってもエッセイ調になっているから、ぼくのような「スパイス初学者」にも楽しめた。

いま、この記事を書いている時点で何回かつくったが、なかなか楽しい。本書にはスパイス配合のコツなんかも少し書いてあるから、つくるたびにちょっとずつ味を変えて楽しんでいる。「好きになったらなかなか飽きにくい分野・領域」を「沼」というが、このスパイスカレーは「底なし沼」だったようだ。