言熟文源録【ことば紀行】

ふっくら熟れたことばの実。そのタネをみつめる旅に、出かけましょう。

世界史

文字と会計/原始の信仰【長い歴史の短い一端 #4】

この「ながたん」シリーズでは、ゆっくりと「ルカ」の出現から農耕文化の定着までを追ってきた。今回は、「会計と文字」の話をしよう。文字が誕生する要因として、「会計」があったという話だ。 歴史上、文字が初めて生まれるのはメソポタミアのシュメール文…

こちら/あちらの新感覚【長い歴史の短い一端 #3】

さて、サピエンスが乳幼児の扶養のため社会性を高めていくと同時に、それとは相反するようにも見える事態も起こっていく。道具の高度化により、人間同士の殺し合いがひときわ目立つようになったのだ。ムラとムラとの衝突だ。これは個人的な感想だが、「内部…

【19世紀のクラブシーン】高野史緖『ムジカ・マキーナ』(ハヤカワ文庫) #35

ようこそ、ふぎと屋へ。今日は高野史緒『ムジカ・マキーナ』を紹介しよう。 ムジカ・マキーナ (ハヤカワ文庫JA) 作者:史緒, 高野 発売日: 2002/05/10 メディア: 文庫 無冠のデビュー作 この作品でデビューしろと言われたところで、たかが一応募者に過ぎない…

挑戦者の文学【アメリカ文学史4】

ようこそふぎと屋へ。今夜も来てくれてありがとう。きょうはアメリカ文学史の中でも、第2次大戦後の様相を語っていこうとおもう。お茶でも飲みながら、ゆっくり聞いていっておくれ。 若者とマイノリティの台頭 さて、世界を巻き込んだ2度目の大戦は1945年…

成長に抗議する文学【アメリカ文学篇3】

ようこそふぎと屋へ。今回もアメリカ文学の続きを紹介していこう。いよいよ20世紀に突入だ。 成長と反動 前回は、1890年代ころになって「自然主義」がアメリカ文学界でブームになったというような話をした。その自然主義文学の一翼を担う作家としてセオドア…

植民の父と独立宣言【アメリカ文学篇1】

やあ、ようこそ「ふぎと屋」へ。今回は今までとは少し趣向を変えて、「アメリカ文学」を上から眺めてみることにしよう。社会の動きとも絡めながらね。じゃあ、さっそくいこう。まずは「アメリカ」の成り立ちからだ。 アメリカのなりたちとその「文学」 そも…

【意味で捉えなおす歴史】川北稔『世界システム論講義』(ちくま学芸文庫) #24

どーも、ふぎとです。 今日は川北稔『世界システム論講義』(ちくま学芸文庫) を紹介するよ。 世界システム論講義: ヨーロッパと近代世界 (ちくま学芸文庫) 作者:川北 稔 発売日: 2016/01/07 メディア: 文庫 作品紹介 突然だが、近代世界システム論という言…

【ドノ事ソノ事を探す旅】塩野七生『チェーザレ・ボルジア あるいは優雅なる冷酷』(新潮文庫) #20

どーも、ふぎとです。今日は塩野七生『チェーザレ・ボルジア あるいは優雅なる冷酷』(新潮文庫)を紹介するよ。 チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷 (新潮文庫) 作者:七生, 塩野 発売日: 1982/09/28 メディア: 文庫 作品紹介 「尾張の大うつけ」織田信…

「花柳界」はなぜ「花」と「柳」なの?

どーも、ふぎとです。今日は「花柳界」についての小ネタです。 小学館の『デジタル大辞泉』を見てみると、「花柳界」は「芸者や遊女の社会。遊里。花柳の巷(ちまた)」と説明されています。しかし、そんな芸者・遊女の社会がなぜ「花」と「柳」で表されてい…

【禍福は門なし】呉兢『貞観政要』(ちくま学芸文庫)読んでみた

どーも、ふぎとです。今日は呉兢『貞観政要』を紹介するよ。 貞観政要 (ちくま学芸文庫) 作者:呉兢 発売日: 2018/01/26 メディア: Kindle版 この本を知ったきっかけは「ダ・ヴィンチニュース」の記事でした。僕にとっては『哲学と宗教』でおなじみ、ライフネ…

【人生に甦る】ディケンズ『二都物語』(新潮文庫)読んでみた

どーも、ふぎとです。今日はディケンズ『二都物語』(新潮文庫)をご紹介。 二都物語 (新潮文庫) 作者:チャールズ ディケンズ 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2014/05/28 メディア: 文庫 「"ドーヴァーにて令嬢(マドモアゼル)を待て"。ほら、長くないだろう…